食事、コミュニティ、生きることの関係…大学生にアンケートを実施

大学入学と共に上京した私にとって、日々の食事は寂しい以外の何者でもなく、いわゆる「お袋の味」が恋しい毎日になりました。

今の時代、コンビニやテイクアウト店に行けば安くて美味しいものが手に入りますが、食べても味気ない、楽しくない、身にならないような気持ちになることがありました。

美味しく食べることも重要なのだと考えるようになり、食べることとよりよく生きることのつながりを、自分なりに考え、深めていきたいという気持ちから、論文テーマを設定しました。

長野県に見るコミュニティの充実

まず、長生き県として知られている長野県のある自治体をピックアップし、そこで暮らす人々の暮らしぶりを調査しました。

その中でも特にコミュニティのあり方に興味を持ち、地域にある公民館やコミュニティセンターの利用についてまとめています。

その自治体では、各年代へ向けたイベントや習いごとが充実していること、それが安価で受けられること、利用者も多いことなどが分かりました。

ここで、健康寿命と地域で安心して生活できることは深い関係があり、地域の人と関わって生きることが健康に繋がると解釈することができました。

一方で、健康寿命が短いとされている自治体では、公民館やコミュニティセンター、ホールなどが少なく、整備されていないことが分かりました。利用者の数も少なく、プログラム数もかなり限られたものしか見つけることができませんでした。

大学生の食事とコミュニティについてアンケートを実施

次に、在学生を対象にアンケート調査を行いました。

質問内容は、

  1. 食事は誰とどのようなものを食べることが多いのか
  2. 食事にかける時間
  3. 食事にかける金額
  4. 自分の食事をどう思っているか
  5. 日々の生活に点数をつけると

などです。

アンケートは教授に協力を依頼し、各学年(1~4年)男女共にバランスよく回収することができました。

結果として、一人暮らしと親元から通っている学生では親元から通っている学生の方が食事を複数人で取ることが多く、孤独を感じることが少ないことが分かりました。

同様に生活への点数も高く、理由として

  • バランスのいい食事
  • 会話がある
  • リズムがある程度整っている

などが挙げられていました。

一方で、一人暮らしの学生からは、

  • 食事に気を使っていない感じがする
  • 寂しいと感じることが多い
  • バイトやサークル活動が忙しく、食事を抜くことが多い
  • 生活を変えたいと思っている

など、食事と生活に関して「今のままではよくない」と思っていることが分かる回答が多く見られました。

運動系のサークルや部活に所属している学生は、

  • 食事に気を使っている
  • 食事は運動パフォーマンス向上の手段の一つと考えている

などと、意識を高く持っている回答が多くあり、運動部に所属していない学生と大きく回答内容が変わっていました。

ファーマーズマーケットを取材

次に、食べ物を中心としたコミュニティを学ぶために、都内で開催されたファーマーズマーケットを取材しました。

まだ全国的にファーマーズマーケットが知られていない時代に、月に1度駅前の商店街の一角で行われていたそのファーマーズマーケットでは、地元の農家の出店や、主催者が見極めた果物やははちみつ、菓子など多くの食べ物が並んでいました。

来店していた客層は、主に子育て世代の若い夫婦から年配の夫婦など様々な年代の顔ぶれを見ることができました。その中で何人かにインタビューとして話を聞くことができましたが、ほとんどの人が「毎回来ている。お店の人と話をできることが楽しいし、より美味しくいただける気がする」と話していました。

ここでは、顔の見える生産者と消費者のつながりが、食べ物への意味をより深くすると感じました。

卒業論文が親孝行になった

卒業論文をどうにか仕上げ、提出することができましたが、その後論文発表会があることを知り、急いで資料にまとめたことは今となってはいい思い出かもしれません。

発表会では、緊張の中、研究してきたことを一つ一つ言葉を選びながら説明することができ、拍手をいただけたということは素晴らしい経験となりました。

卒論やるぞ、と決めた日から2年近くあったにも関わらず、どうしても締め切りギリギリの仕上がりとなってしまったことは、どの学生にも当てはまるのだとは思いますが、やはり何よりも計画性を持って過ごすことは重要だと痛感しました。

当時離れて住んでいた両親に卒業論文の内容を伝えると、興味を持って「読みたい」ということだったので、送りました。「母の味が恋しい」という一言から始まる文章に、普段あまり読書をしない母も最後まで読み進めることができたということでした。

上京し美味しいお店や楽しい仲間もでき、自分の生活が以前よりも充実していると思っていた一方で、時折無性に恋しくなる母の味。家族で囲む食事。何よりも安心できるあの時間。

卒業論文として改めて考えることで、「誰かと食べたい」という気持ちに正直になることができたのかもしれません。論文という形で母に思いを伝えられたことも、親孝行になりました。