フランス革命の担い手は貴族だった?貴族の中の階層の違いに注目

市民革命として最も知られているフランス革命ですが、その主な担い手は特権階級である貴族でした。

なぜ、貴族が自ら革命に立ち上がったのか。これを明らかにしたいと思い、卒業論文のテーマとして選びました。

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フランス革命の担い手は貴族だった?

現在、世界中の多くの国で、程度の差はっても民主主義が採用されています。

こうした民主主義が大きく進展するきっかけとなったのは17世紀から18世紀にかけて起こった市民革命なんです。

市民革命というのは「民衆が立ち上がり、封建的な旧体制を打倒した革命」と定義づけできるのですが、その中で最も認知されているものが、フランス革命ではないでしょうか。

世代によっては某少女マンガを連想する人もいるかもしれません。民衆が立ち上がりそれまで民衆を支配していた特権階級の人たちを打倒し、自由に暮らせる世の中を現した革命、という認識の人も多いと思います。

しかし、実はフランス革命においては、その担い手は貴族でした。貴族といえば、旧体制においては特権階級として、気ままに暮らしていた人たちです。

そんな彼らが、なぜ、自分たちの身分を保証する土台となっていた体制を打倒するために立ち上がったのでしょうか。

その謎を解くには、まずは革命というものについて理解しておく必要があります。

簡単に言えば、革命とは「それまでとは世の中がガラッと変わること」となります。

そして、革命が起こるためには3つの要素だ必要であると言われています。

一つ目が「現体制の脆弱化」、二つ目が「新たな体制を構築する指導者の存在」、そして最後に「民衆の蜂起」です。

革命の要素1.現体制の脆弱化

一つ目の要素についてですが、フランス革命前夜、フランスは深刻な財政危機に直面していました。フランスといえば、ドーバー海峡を挟んで向かい合うイギリスとは犬猿の仲。そのイギリスから独立しようとして、アメリカが独立戦争を始めました。

フランスは多大な援助をし、独立した後には記念として自由の女神をプレゼントしています。こうした援助によってフランスの国家財政は著しく悪化します。
当時、国民の多くは食べるパンがなくて困っていたそうです。それを聞いた王妃のマリー・アントワネットが一言、「パンがないならケーキを食べればいいのよ」。…何だかなぁといった感じです。

革命の要素2.新たな体制を構築する指導者の存在

二つ目の要素についてですがフランス革命後の国づくりは当時支配階級であった貴族がすすめていきます。

ただ、共和制へと移行していきますから、その基盤には民衆の支持がありました。

革命の要素3.民衆の蜂起

そして、最後の要素は言わずもがなです。中世までは、戦争などにおいて、武力を担当する人たちがいました。ヨーロッパで言うと「騎士」、日本では「武士」と呼ばれた人たちです。

しかし、銃火器の発達によって、そうした人たちの優位性が失われ、いわゆる農民の人たちにも体制を打倒する力が持てるようになったのです。

そして、数の面では騎士を圧倒していましたから、革命においては名もない農民たちが大活躍しました。

このように、当時のフランスには革命が起こる要素は揃っていました。そして、その口火を切ったのが貴族なのです。

そして、やはり最初の疑問に戻ります。

どうして貴族は、自分たちの権力の基盤となる体制を打倒する革命を起こしたのか。

フランス革命を担った貴族の階層に注目

様々な調査の結果、興味深い事実が判明しました。

実は私たちが「貴族」と認識している階級には様々な階層があったのです。例えば「剣の貴族」と呼ばれる人たちがいます。

彼らは古くから、王家とともに領土を平定し、他国と戦ってきました。歴史と伝統を持つ貴族なんですね。

ただ、その歴史や伝統を誇示するばかりで、何かを生産することはありませんでした。ですから、剣の貴族の多くは没落していたようです。

一方で、そうではない貴族もいました。このころのフランスは王や貴族の贅沢な暮らしによって財政的に厳しい状況にあったので、貴族という階級を売りに出していたのです。

いわゆる平民という階級の人でも、お金を出すことで貴族になれたんですね。しかし、彼らにはお金はあるものの、剣の貴族が持っているような、歴史や伝統、王家とのつながりのようなものはありませんでした。

ですから、身分的には間違いなく「貴族」なんですが、その貴族の中では冷遇されていたんです。彼らの思いはこうです。

「自分たちが金を出し、王家や他の貴族の暮らしを支えているのに、没落している剣の貴族よりも序列が下だなんで納得できない」

支配される側にいながらも財を成してきた彼らからすれば、たとえ封建制度が崩壊し新たな体制となっても、十分に成功を収めることはことは可能だという考えもあったでしょう。

平民出身貴族が民衆の支持を集める

ついに平民出身の貴族たちは立ち上がります。そして、民衆はそれに呼応します。なぜなら、自分たちと同じ身分から貴族になった彼らは憧れの対象だったからです。

かくして、新興貴族の先導によって多くの民衆が革命に加わります。そして、ルイ16世の処刑を以ってフランス革命という世界史の中でもエポックメイキングな事件が完成するのです。

フランス革命とは、支配の歴史の中で、力をつけてきた人たちが、「それでもこの体制のままでは自分たちが成り上がっていくことには限界がある」と気付いたことによって起こったとも言えるかもしれません。

(文・ひろ)