大学生の孤独感を和らげるのは大学でできた新友人?以前からの旧友人?

大学時代、大学入学後にできたサークルの友人に悩みを打ち明けると、冷たい反応をされたことがありました。

思い返せば、大学入学後にできた友人とは悩みを相談し合えるような深い関係ではないように感じました。

そこで、大学生の友人、特に大学入学後にできた友人と入学前からの友人に着目し、友人関係の研究を行うことにしました。

大学生の孤独感と友人のサポート

これまでの研究によれば、友人からのサポートは大学生の孤独感や心理的苦痛を低減させることがわかっています。

しかし、大学生の友人関係は大学内にとどまらず、入学以前からの古い友人との関係も存在します。こうした友人の関係性の違いによって、友人に期待する役割や友人が適応感に及ぼす影響が異なることも先行研究で明らかになってきました。

そこで、卒論では大学入学後にできた学内の友人(新友人)と入学前からの友人(旧友人)に着目し、友人からのサポートが大学生の適応感に及ぼす影響について、質問紙調査を行いました。

質問紙の内容は以下の通りです(結果に直接の関係のない質問は省略しています)。

質問紙調査の内容

入学後にできた学内の最も親しい友人1人と、入学前からの最も親しい友人1人を思い浮かべてもらい、その友人からのサポートがどのくらいあるかを質問しました。サポートの内容については、心理的サポート(例:悩み事を話し合える)、問題解決志向的サポート(例:情報のやり取りをする)などの項目を用意しました。

新旧友人からのサポートが大学1、2年生の適応感に及ぼす影響を分析

質問紙調査の回答をもとに1、2年生196名を対象に、新旧友人それぞれのサポートが適応感に及ぼす影響について分析を行いました。

その結果、新友人(入学後の学内の友人)からの問題解決志向的サポート(例:情報のやり取りをする)が、学校への適応感の様々な側面(例:大学での居心地の良さ、大学に行く目的や充実感、大学生活の満足度など)にプラスの影響を与え、孤独感を低減させていました。

旧友人(入学前からの友人)からの心理的サポート(例:悩み事を話し合える)は、孤独感を低減させていました。学校への適応感に対する影響は見られませんでした。

新旧友人におけるサポートの種類の違いを比較すると、旧友人の方が新友人よりも心理的サポートを得られると感じていました。一方、問題解決志向的サポートについては、新旧友人で違いはみられませんでした。

新旧友人からのサポートが大学3、4年生の適応感に及ぼす影響を分析

次に、大学3、4年生83名(文系の学生が中心でした)に対して先ほどと同じ調査を行いました。その結果、新友人からのサポートは適応感にほとんど影響を与えていませんでした。

旧友人からの心理的サポートは、3、4年生においても孤独感を低減させていました。

新旧友人におけるサポートの種類の違いを比較すると、3、4年生においても旧友人の方が新友人よりも心理的サポートを得られると感じていました。一方、問題解決志向的サポートについては、新友人の方が得られると感じていました。

大学でできた新友人と、以前からの旧友人の違いは?

質問紙調査とその分析を通じ、次のような結論を導くことができました(統計的に意味のある内容のみを記載)。

大学1、2年生において、新友人からの問題解決志向的サポートが学校生活の適応感を高め、孤独感を低減させています。

一方、旧友人からの心理的サポートは孤独感を低減させており、心理的サポートは旧友人から多く得られると感じていました。

このことから、新友人とは情報のやりとりなどちょっとした問題を解決できるサポートが、旧友人とは悩み事を話し合うなど心のつながりを必要とするサポートが、適応感を高めているといえます。

新友人と旧友人はそれぞれ別の役割を果たしており、これらは相補的な関係であると考えられます。

大学3、4年生においては、新友人からのサポートの効果は小さくなっていました。これについては、学部での専門性が高まり、新たな友人関係が多く形成されるため、新友人1人からのサポートの影響は小さくなったと考えています。

一方、旧友人からの心理的サポートは、3、4年生においても孤独感を低減させていました。旧友人は大学4年間にわたり継続的に心の支えになっているといえます。

卒論に真剣に取り組んで損はない

卒論が終わるまではデータの入ったUSBメモリなど管理に気をつけていましたが、提出時にUSBメモリを危うくPC室に忘れそうになりました。

提出後も発表があるので、データの管理は最後まで気を抜いてはいけないなと思いました。

卒論のテーマとして友人関係を選びましたが、友人関係を扱った研究は古くから多く行われており、ありふれたテーマになってしまいました。もう少し独自性のあるテーマにできれば良かったと思っています。

卒論は「卒業するためだけに必要だ」「社会に出てから役に立つわけではないのでそこまで真剣にやりたくない」と考えている学生もいるかと思います。

しかし、社会人になってからも文章のスキルを求められる場面は多いです。例えば、社内やお客様向けに資料を作成する機会もあります。卒論に対して真剣に取り組んでおいて、損はないと思います。

最後に、卒論は「好きなことを好きなようにやれる数少ないチャンス」だとも考えています。学生生活最後のまとめとして、楽しんで取り組めるとよいですね。私も、卒論を好きなように進めさせてくれた指導教員に感謝したいと思います。

(文・人文社会学部人間科学科 2011年卒業 えれん)