受験英語と使える英語の違いは?大学入試の「会話形式の問題」に注目

卒業論文のテーマに英語教育を選んだ理由は、夏休みから論文を書かなきゃいけない時期に差し掛かった時、当時教育実習を終えたばかりだったので、英語教育について書いてみたら割と早く終わるのではないか、と思ったからです。

英語教育に関連するテーマとして大学入試を取り上げました。そして、コミュニケーション重視の英語教育が当時の学習指導要領に明記されていたので、その2つを組み合わせた内容にしました。

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受験英語は悪役か?

卒業論文では現行学習指導要領を肯定する立場を取り、大学入学試験の会話形式問題がコミュニケーション能力を測りたい問題であると定義し、それが果たして「会話」として機能しているかどうかを調査しました。

機能している場合、いわゆる、受験英語は 「学習指導要領を逸脱している」「英語の運用とは関係ない」「特殊な知識をためすもの」と 否定的に指摘されてきことを覆すことができることになります。

受験英語というものが、なぜここまで「悪役」として扱われているのかも同時に気になっていたので、その歴史についても少し調べました。調査の結果、明治初期には、実は「実際会話」の問題形式が存在していたことが分かりました。

しかし50万人ほど受験者のいるセンター試験において、英語で「話すこと」の能力自体を測ることは難しいのが実情です。それに代わるべく何かしらコミュニケーションの側面を測る形式で実施することは可能だろうか。

英語検定試験の二次試験や、TOEIC Writing &Speaking、TOEFL IBTのようにスピーキングを課す試験が実際にあるため、それらを参考にして(特にTOEFL IBTのようなパソコンを使った形式ならば)会話実技の問題を受験者に課すことは可能かもしれない、というものでした。

大学入試における会話形式の問題

会話形式の問題をピックアップし、それらの割合をなんとか「論文らしい」形でまとめました。

当時、MARCHの大学に所属していたこともあり、MARCHの大学入試の問題の中にどの程度、会話形式の問題があるかを調べました。

調査の結果、2014年度から2016年度の3年間で会話問題の数は増加していました。そして2015年度から2016年度の間において、2014年度から2015年度の間よりも会話形式問題の数が増加していることが判明しました。

受験英語と使える英語

「受験英語」は日本において最も規模が大きい英語試験。大学生になって個人が 「使える英語」を自分で選択することより前に、この試験を突破する必要があるでしょう。

私は、その「受験英語」で会話形式問題が増加しているということは好ましいことでると考えました。大東 (2004年)や川上(1997年)の述べているような生徒を振り分けるために難解な語彙を答えさせる「受験英語」より、会話形式問題という日常的に頻出な語句が多い「受験英語」の方がテストとしては適している、と当時の自分は結論づけました。

なぜなら、難解な語彙を試す試験よりも、一般的な会話問題を解くことがその後、各個人が「使える英語」を選択する上で好ましいからだと考えていたからです。関連する先行研究を見ると、西谷太(1986年)は実用英語について「受験時代に培われた文法力、構文力、語い力が最後にモノを言うようである」と述べています。

西谷は「受験英語」が大学に入学した後の個人にとって「使える英語」と目されるものと結びつくことが良いと考えていました。そうであれば「コミュニケーション重視の英語教育」は決してこれまでの文法偏重を否定するのではなく、より一般的な英語力を身につけさせたい、という意向が働いているのではないだろうか、と推論をしました。今後の課題としては、調査対象を増やすこと、そして調査の質を高めることを目標にする、という言葉で論文を締めくくりました。

学部とは異なる国立大学の修士課程へ

卒論を提出した後、その論文を基に審査される修士過程の入学試験がありました。その試験は口頭試験だったのですが、ある先生に「統計が全然できてない。研究ナメてんの? うちの大学の修士課程はとんでもなく厳しいんだからね!覚悟しておきなさい!」と、小一時間説教されたのはいい思い出です。

結果的に、学部とは別の国立大学の修士課程に入学することになったので、学部と同じ私立の修士課程には入学しなかったのですが、どうやら説教した先生のせいで、私が入学しなかったという噂が広まってしまったようです。

(文・クロちゃん)