テーマはデフレ下の政策転換…就活より卒論を重視して後悔はない

私は社会学部出身で、経済学を専攻していません。しかし、就職活動などで社会との関わりから、政治経済に関心を寄せ、その中で経済政策に注目しました。人間一人ひとりを対象としているのではなく多くの人に影響を及ぼす問題をテーマに選びました。

今(在学当時)よりもよい社会になるためにはどんな政策が有効なのかを示して卒論の形でまとめ上げたいと考えました。

卒業論文を執筆した後、何年先になっても読めるようなものを書きたいと思いました。

デフレが国民の生活に与える影響は?

経済政策は経済の安定を目的としています。

具体的には、国民の賃金上昇や雇用の確保で人間の尊厳を守り、将来に対して先行きが見えることです。

家を持とう、結婚しよう、車を持ち、子供も作ろう等、人間は先行きが見えれば行動を起こせるものです。

しかし、長いデフレーション(以下デフレ)に陥っていた日本経済は物価の下落が続き、その結果需要不足に陥ります。

企業は新たな事業を避ける傾向になり、それにより銀行の貸出も少なくなります。その結果、資金循環が悪化、経済活動の縮小へ向かいます。

国民の賃金が下がり、日本のGDP(国内総生産)も税収も下がります。デフレが続けば、将来の見通しが立たず、生きやすい社会になるとは到底思えません。

デフレの原因と解決策

デフレが継続した原因は、公共投資の削減と(執筆当時では1997年に行われた)消費増税による緊縮財政。さらに特定の企業を重視し、規制緩和、自由貿易を推進して、生産性を向上させる構造改革です。

それらは市場が正常である前提のインフレーション(以下インフレ)対策に行う政策です。デフレ下の中で誤った政策を実施したことでデフレが一層継続しているというものです。

そのインフレ対策の逆を行うことが政策転換です。

デフレ下で望まれる政策転換とは

デフレ下では公共投資を増やし、消費減税し、政府の介入を市場が正常へ向かうまで行い、その結果人間の尊厳を守ります。

具体的な政策の一つに公共投資の用途として鉄道、道路といった交通インフラ整備や防災・減災対策を盛り込んだ国土強靭化計画を政策として推進することです。

人間は安全が確保されると、先行きが見えるようになり将来に対して安心感を抱きます。交通インフラが整った街なら移住も移転も検討できます。

国債発行によって破綻しない理由

その他に、公共投資を投じる事業に用いる財源は、政府発行の国債で賄う方法があることを取り上げました。

デフレによる経済活動の縮小にある日本は、長期金利が(執筆当時)1%にも満たないので、銀行の国債購入により、民間の貯蓄を政府の消費や公共投資に充てることができます。

政府が民間に仕事を発注すれば実体経済にも良い影響が及びます。そうして賃金の上昇や雇用の確保で経済成長につながればGDPも増加し、税収も自然増の方向へ向かいます。

国債発行は政府の債務が増えますが、自国通貨建ての国債であるので破綻は考えられず、政府は通貨発行権を持っており、円の発行で債務返済に充てることも可能、という理由も記し、民間企業の債務返済とは異なる政策である、と取り上げました。

経済の危機に対して政府は民間には行えないこと(通貨発行権)ができるのです。

政局ではなく政策で候補者を選ぶ

最後に政策転換を実現させるには、その政策を行使する候補者、政党、団体を選ぶ自分自身の意思を行使しなければならないことを書きました。

政局で選ぶのではなく政策で候補者を選ぶべきことにも触れています。選挙によって自らの意思を政策に反映させることは、有権者である私たち国民の責任であり、国民主権の民主主義国家の日本では当然の行動であり、豊かで生きやすい社会を目指すために必要だとまとめました。

就活よりも卒論を重視したが後悔はない

卒業論文を執筆した後は、東京一極集中の弊害という新しいテーマに目を向けました。公共投資やインフラ整備について調べている内に国土構造の分散化のためのインフラ整備について関心を持ちました。

その中で首都東京は人、モノが多く集まり、集中的に投資が行われており、地方に比べ経済規模も人口も多い。しかし、首都直下地震のリスクも抱えていることもあり、地震の被害からの復旧以外にも日本全体にどのような悪影響を及ぼすかをまとめ、対案も取り上げたいと思いました。

さて、実際に卒業論文に取り組んでみて、論文のまとめ方には苦労しました。章と章の間を順序だてて説明しないとまとまりに欠けるので一本道で読める構成を意識して書き進めていました。

もし他のゼミ生から読んだ感想を聞く機会も十分に有れば、自分の見えてない点に気づくことができたと思います。これは反省点です。

当時の指導教授からは、自分のゼミ生の中でも特に研究に力を入れていたと評価され、ゼミの代表として私の論文が所属学科の2013年の卒業研究集に掲載されました。

自分のまとめあげた論文が掲載されるのは単位取得以上に大きな成果だと感じました。

卒論に力を入れた分、就活はあまりうまくいかない結果でした。それでも仕事には出会えています。何社か経験し社会で関わりを持つことで自分の論文を読み返すと、新たな発見があります。仕事をすることによって、論文で取り上げた内容が、やはり必要だと自分の指針を再確認するのに役立っています。

(文・社会学部コミュニティマネジメント学科 2013年卒 みみっち)