近年若者層で流行している美容整形を行う人たちの背景に疑問を持ち、美容整形を行う意義とは何なのかに興味を持ちました。
美容整形に関連する障害として身体醜形障害があげられます。
私自身が精神科に特化した職に就く予定であったので精神障害のことをより深く研究するために、卒業論文では身体醜形障害をテーマとして選びました。
また美容整形を繰り返す友人を見て美容整形の原動力をなっている悩みはなんだろうかと考えたのもきっかけの一つです。
美容整形の流行と身体醜形障害
現代の若者層では美容整形が流行しています。
私が卒論のテーマを身体醜形障害に絞ったのは、美容整形を繰り返す友人に美容整形をなぜ行うのかと質問した際「醜い顔で生きていたくない、より美しくなることで人に認められる」と話していたことが始まりでした。
彼女はもともと綺麗で、他者からも美人で評判であったにも関わらず「自身の容姿は醜く、より人に認められるために整形が必要」と常々話していました。
他者評価と自身の評価のズレはなぜ起こるのか?他者が認めても自分自身を認められない理由は何なのか?という疑問を抱くようになりました。
同時に彼女は家庭環境についても不満を持っていました。幼少期は母子家庭で父親の顔を知らない、小学生時に母親が再婚し養父に育てられたがうまく家庭に馴染めていないと。
容姿に対する自己評価が他者評価と伴わない、認められたいという気持ちが容姿に向くのはなぜなのか、身体醜形障害と親の養育態度が関連しているのではないかと考えこのテーマを研究することに決めました。
身体醜形障害の特徴
身体醜形障害とは、極度に低い自己価値観に関連し自分の身体、美醜に極度にこだわる症状です。
身体醜形障害について先行研究行いました。
身体醜形障害になりやすい人の傾向として
- 大きなエネルギーを持つ
- 完璧主義な性格
- 負けず嫌い
- 思春期(稀に40代での発症もある)
があります。
身体醜形障害のセルフチェック
身体醜形障害の症状の特徴としては次のものがあります。
- 容姿について特定の美醜に執着し程度の問題でなく質的に異様に醜いと思い込む。しかし実際は普通以上の美男美女が多い。
- 1日何度も鏡を見て顔を確認する。或いは極端に避ける。
- メイクやヘアセットに異常に時間がかかり、外出が困難、不可となる場合がある。
- 美容整形手術で修正を繰り返すが納得いかず美容整形をやめられなくなる。
- 写真を異様に嫌い、写真撮影などを避ける。
- また、身体醜形障害の原因となる心理と背景ではやはり母子関係の影響が大きいとされている。
- 過剰に子供をコントロールしようとする親の存在。母親の傾向として不安を抱きやすく脅迫的に頑張るタイプ。
- 楽しむ、笑う、ポジティブな経験や体験を共有が少ない親子関係。
- 可愛いというボディイメージを親から植え付けられて育ったために「可愛いことが大事なこと」という価値観が出来上がっているなど。
- 親の関心を得るためにどこか身体症状を訴えるような関係。
身体醜形障害の直し方
精神心理療法と薬物治療の両論となります。
精神心理療法
自身についての、様々な錯覚、思い込み、認知や対人関係の歪みについて丁寧に話し合い、そのようなエピソードどのような過去の体験、周囲の刷り込みが関係しているのかを明確化していくことが精神心理療法となります。
薬物療法
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が有効であるとされています。
親との関係も影響?卒論でアンケート調査を実施
当時在籍していた大学生100名に、幼少期の親の養育態度についてと自身の容姿に対してどういったイメージを持っているかのアンケートを行いました。
親の養育態度と自身の容姿に対する評価は関連しているのかを醜形尺度、親の養育態度尺度を用いて集計し、相関数にてその関連性を調べました。
結果、アンケート調査の人数が足りず身体醜形障害と親の養育態度との関連性は結果を出すことはできませんでした。
しかし、先行研究で母子関係の影響があることは立証されており、人数とアンケート項目を絞れば結果を出すことはできたのではないかと思います。
卒業論文を提出して気づいた課題
身体醜形障害をテーマに決めた当初、アンケート調査によって親の養育態度と身体醜形障害の関連性が明確になると思っていました。
ですが、親の養育態度の部分でもっと狭い範囲に焦点を絞りアンケートを行うべきであったと感じました。
大まかに「親」や「幼少期」ではなく、「母親が叱るときにどんな風に叱ったのか」や「それを自身がどんな風に感じたのか」など具体的あるいは特定されたエピソードに絞ればよかったのではないかと考えております。
また、「幼少期」ではなく年齢を指定した方がよかったとも思いました。
アンケート調査は両親同士の関係や両親共に揃った家庭であったのかなど細かな項目がたくさん必要であり、ナイーブな質問でもあるので大学生へのアンケート調査としては不向きであったと考えております。
機会があれば、またこのテーマについて研究をしたいと思っています。